新高山百合
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二人の日本語世代が歌集を出版!ー8、9月台湾歌壇歌会の様子
2010-10-23 Sat 14:12

8月29日と9月26日の台湾歌壇会中、二人の先輩から自費出版した歌集を受け取りました。一人は蘇楠榮先輩で「南島の息吹」。もう一人は林素梅先輩で「米寿的回憶」。歌が素晴らしいだけでなく、作者の昔から写真から日本時代の様子も知ることができるし、先輩たちの若い日の様子も分かります。皆さんはみなハンサム、美人でした!

蘇楠榮先輩 歌集「南島に息吹く」  歌集「南島の息吹」

林素梅先輩 歌集「米寿的回憶」 歌集「米寿的回憶」

先輩たちの歌集出版の動機と意義を三宅教子事務局長に聞くと、三宅さんの返事は
【歌集出版の動機と意義については、歌集を出版なさったそれぞれの方にそれぞれのお考えが有ると思います。私自身は皆様が歌集を出版なさることには大賛成で、ぜひとも今までの詠草を一冊にまとめていただきたいと思っております。

台湾歌壇に発表さなったり、日本の結社に所属しておられる人はその結社の歌誌に、またはそれ以外のメディア、雑誌に発表しておられますが、それだけではいつかは忘れ去られてしまいます。個人の歌集にまとめることで、その人の歩んでこられた過程や考えなどが克明になり、文章とは異なる「自分史」の足跡が残り、子孫に残すことが出来ます。ただ、台湾の日本語世代の方々の嘆きは、「自分たちが精魂込めて詠んだ歌も、日本語の読めない子孫には伝えることが出来ない」ということです。そこで、漢文に翻訳したものを添える方もおられます。また、日本語がわからなくても、写真をたくさん載せることで子孫に残したいという思いを込められる方もおられます。

また何よりも、歌集にまとめることで、作者自身が、歌が生れた頃を鮮明にに思い出せるということも貴重なことでしょう。五年前、十年前、若き頃の歌が残っていることで、忘れてしまいがちな思い出が、まるで昨日の出来事のように甦ってきて、懐かしい思いに浸ることが出来ます。それらは現在生きている自分を省みさせてくれ、再び歩んでいく勇気をも与えてくれましょう。

日本の伝統的な定型の和歌には、散文に優るインパクトがあり、和歌を通じて、同じ世代を越えてきた方々と、体験を分かち合えますし、後続の世代に伝える意味もあり、歌集を友人に配ることは大変意義の深いことだと思います。歌集出版により、単調な日常が一段と濃いものになることは確かです。印刷代は日本に比べれば安いので、台湾歌壇の皆様に歌集をまとめられることを勧めています】と説明していただきました。

三宅教子事務局長

以下は三宅さんからの通知で、8月例会で北島徹先生の歌評を以下のように整理しました。


【北島先生の今月の評から】
先月に続いて、皆様の短歌を「万葉調」「古今調」「新古今調」「現代短歌調」にわけて取り上げてみます。

万葉調として力強さ素直さ純情さがそのまま表れているものに、
○ 玉ネギを刻みつつ涙拭ふ吾にハンケチ呉るる曾孫の可愛さ    林百合
       素直に曾孫の素直な動きを捉えて、子供の心遣いが見事に現れています。
○ 靖国に我も行かむと誓ひしは六十五年前の陸軍生徒    蔡焜燦
       力強さ、率直さが表現されている。

古今調としては、
○ けきょけきょと鳴けるペタコをうぐひすと紛ふ夜明けの空晴れ渡る    呉順江
       ぺタコの鳴き声をうぐいすのそれになぞらえ、鳥の鳴き声と空が晴れ渡る
       美しさを表現。平安朝の美意識が流れています。
○ 黒き影よぎる気配に見上ぐれば朝陽を背負ふ鳥の飛び去る    潘達仁
       朝陽を背負う鳥の取り合わせが型になっていて、そういう所に美しさを
       捉えている面で古今調。

新古今調として、
○ 川端の緑を揺らし吹く風の浪にたゆたふ白き月影    周福南
       一幅の絵を見るようで、風の音、波の音が聞こえてくるよう。
○ 夕映えの観音山の伸びやかに淡水河畔に灯りきらめく    陳淑媛
       結句を「灯の点りゆく」にすると、次第に暗くなる中に、一つ一つと灯りが
       点っていく時間の経緯も入り、美しい絵の中に居るようです。

現代短歌らしきものとして、
○ お帰りと迎へて呉るる人はなく熱気の残るパラソルたたむ    佐藤厚子
       下の句に上の句とはまったく違った「熱気の残るパラソル」を持ってきて、
       一首が生きた。
○ 疲れたる眼閉ずれば朝逢ひし若きホームレスちらちらと顕つ    徐奇芬
       「疲れた眼」に関連のない「ホームレス」をくっつけて見事な一首になって
        います。


9月例会での北島先生の解説には歌を詠むこころを教えて頂いた気持ちがしました。


「毎月の通知を楽しみに読んでいます」というお便りもあって、励まされる思いで、今月も北島先生の評の概要をお知らせいたします。

【良い歌の基準は、作者が目の前に見たもの、そこに自分の心が投影される、自分が重ね合わされたものがよいので、それらの作品は読んだときにすっと入ってきます。自然現象を見ながら自分の気持ちがそこへ入ってゆくという歌。
例えば今月の歌で
○ 年重ね身の崩れゆくかなしみをひそめ紫紺を散らす野ボタン    游細幼
○ 命あるなべてのものの悲しみを包むが如く夕陽落ちゆく    徐奇芬
       人生の終りの寂しさ悲しみが表現されていながら、「紫紺を散らす」または
       「悲しみを包むがごとく」などに単に悲しいものだけでない「美」があります。

○ 金色の光を我に与へつつ水平線に陽は沈みゆく    蔡永興
       この歌では「光を我に与へつつ」と詠み、作者自身も光を与えたいと思って
       いるとも読みとれます。

○ 刻々と姿変へゆく白雲の力強さにわれみとれゐる    謝白雲
       なぜみとれゐるのか、力強さへのあこがれ、それを自分も身につけたいという
       思いが伝わります。

○ 悠々と黒き瞳を我に向け水槽の金魚酷暑を知らず    顔淑美
       自分自身が酷暑に喘いでいる時、金魚を見て何と涼しそうなことかと感じる
       微笑ましさがある。この表現が行き過ぎると狂歌的になるので気をつけたい。

○ 文旦はこぶりがいいねと二つに分け夫婦の語らひそれより続く    鄭埌耀
       これを現代仮名遣いで詠めば俵万智さん流です。ほのぼのとした姿が見え
       てきます。お月見をしながらの団欒のムードがよく出ています。

○ 窓の辺に神のつかひの鳩が来て今朝の退院祝ひくれをり    曾昭烈
○ 朝採りのオクラの届く勝手口豊けき朝や孤老の自炊    潘建祥
       これらは心安らぐ思いがします。
 

酒井佐忠の「今朝の歌」という本にこのような短歌がとりあげられています。
   言葉もてモーツアルトを在らしめし人すでに無き夕街さむし 
                                  大塚寅彦

ここでの人とは歌人の永井陽子さんのことで、モーツアルトのオペラ「魔笛」を見て、短歌もまた不思議な音楽と感じたと書いていたそうです。モーツアルトの音楽は、人の心を豊かにします。モーツアルトの音楽を聞かせて熟したトマトは一層美味しくなるそうです。だから短歌も調べが大切で、勿論内容も人の心を癒すようなものでありたいです。腹立たしい思いをそのままぶつけると、聞く人は心が傷ついたり荒れてきます。言葉には魂があるわけですから、よく選択して使いましょう。】  皆様お元気で!





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